授戒

9月半ば、まるで呼ばれるように高野山へ向かった。
ずっと行きたいと思いながらタイミングがつかめずにいたところ、ご縁のある方の一言に背中を押され、宿坊を予約した。
当日は、新幹線から南海電鉄へと乗り継ぎ、迷うことなく高野山へ到着。雨予報にもかかわらず、2日間一度も傘を使わずに過ごせたことには、驚きを隠せなかった。
1日目は、大門から壇上伽藍、金剛峯寺、霊宝館を巡り、夜には二十年に一度の御社の上遷宮を拝見することができた。
2日目は、早朝に奥の院を参拝した後、大師協会で授戒を授けていただいた。写経をしようと思っていたのに、なぜか授戒を受けることに心が向いていったのは、きっと何か意味があったのだと思う。
授戒は、阿闍梨様という高僧からいただく菩薩十善戒と法話。その暗闇の中で過ごした三十分の間、私は過去生の記憶の中へ深く沈んでいった。阿闍梨様から受け取るエネルギーを確かに知っていて、胸が締めつけられるほど懐かしく、焦がれるような感覚に包まれた。そして自然と胸がいっぱいになり、感謝があふれてきた。
――ああ、このために高野山に来たのだ。
そう実感した瞬間だった。






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